「カーテンを開けられない庭」に、さようなら。-光と風を取り込む、プライベート空間の創り方-

エクステリアさくらで、お客様の暮らしをデザインさせていただいております、高橋(仮名)でございます。

「せっかくお庭を綺麗にしたのに、なんだか周りの目が気になってしまって…。結局、リビングのカーテンを開けられないんです」

先日、あるお客様から、そんな切実なご相談をいただきました。 お庭は、ご家族だけの大切な空間。日々の喧騒から離れて、心からリラックスできる場所でなければ、その価値は半減してしまいます。

しかし、ただ高い壁で四方を囲んでしまっては、今度は圧迫感で息が詰まり、光も風も入らない、閉ざされた場所になってしまう。

今日は、そのジレンマを解決するための、光と風を諦めない、心地よい「プライベート空間」の創り方について、わたくしたちが大切にしている設計の魔法を、少しだけお話しさせてください。


魔法その1:「見せる」と「隠す」の、戦略的なグラデーション。

まず、わたくしたちは、お客様とご一緒に、お庭の地図を広げます。 そして、「どこからの視線を、どのくらい遮りたいのか」を、一本一本の線で書き込んでいくのです。

道路を歩く人の目線。お隣の2階の窓からの目線。向かいのアパートの廊下からの目線…。 それぞれ、高さも、角度も、気になる度合いも異なります。

ですから、わたくしたちは、全てを同じ壁で覆い隠すことはいたしません。 “隠すレベル”に、美しいグラデーションを持たせるのです。

例えば、お客様が一番気にされていた、お隣の窓と正対する場所は、しっかりと視線を遮る高さ1.8mの、上品な**デザインウォール(塗り壁)**に。 一方で、道路に面した部分は、人の視線は遮りつつも、光と風は柔らかく通してくれる、すりガラス調のパネルや、横板の隙間が広めのフェンスをご提案します。

この「使い分け」こそが、圧迫感をなくし、必要な場所だけを優しく守る、最初の魔法でございます。


魔法その2:「上」と「下」を操り、空と緑を感じる"おこもり感"。

人の視線は、水平方向からだけとは限りません。 特に住宅が密集したエリアでは、上からの視線を気にされる方も多くいらっしゃいます。

そんな時は、ウッドデッキやタイルデッキの上に、木製の**「パーゴラ」**を設置することをご提案します。 パーゴラに、日よけのシェードを張ったり、フジやブドウといった、つる性の植物を這わせたり。そうすることで、上からの視線を優しく遮りながら、まるで森の中にいるような、心地よい木漏れ日が生まれます。 空を感じられる、屋根のない、もう一つのリビングの誕生です。

逆に、あえてリビングの床面よりも数十センチ掘り下げた**「サンクンガーデン(沈床園)」**という手法もございます。 地面に少しだけ潜ることで生まれる、あの独特の“おこもり感”。周囲の喧騒から切り離された、静かで落ち着いたその場所は、読書をしたり、静かにお茶を飲んだりするのに、格別な時間をもたらしてくれます。


魔法その3:「音の景色」で、心をそっと切り替える。

最後に、これは少し上級編の魔法でございます。 視線だけでなく、周囲の「生活音」も、プライバシーを考える上では大切な要素です。

もちろん、音を完全に遮断することは難しいのですが、その気配を和らげることは可能です。 例えば、お庭の隅に、小さな**「水景施設(ウォーターフィーチャー)」**を設けてみてはいかがでしょうか。 サラサラ、コポコポ…という、絶え間ない水の流れる音は、とても心地よいBGMとなり、周囲の車の音や話し声などを、ふっと心の遠くへと押しやってくれる効果があるのです。

また、葉が密に茂る常緑樹などを、音のする方向に植えることでも、音を吸収・拡散させる効果が期待できます。


心地よいプライベート空間とは、単に外部から見えなくすることではございません。 それは、守られるべき安心感と、自然を感じる開放感。その二つが絶妙なバランスで共存し、「ああ、ここは自分たちだけの聖域(サンクチュアリー)だ」と、心から深呼吸できる場所のことなのだと、わたくしは考えております。

「カーテンを開けられないお庭」から、「思わず深呼吸したくなるお庭」へ。 その変身のお手伝いを、ぜひ、わたくしたちにお任せくださいませ。

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